2009年5月7日木曜日

かりんと慕情事件 犯罪捜査報告

今回は整体の話も生物の話も何にも出てきません。雑文の範囲です。




情報量が少ないほど、想像力をかき立てられることがあります。
「週刊誌の見出し」というと俗かもしれませんが、想像で埋めるというのはなかなか楽しいものです。

昔、もう二十年くらい前ですが、図書館で犯罪捜査報告みたいな資料本を読んだことがあります。


資料本ですので基本的に事実のら列ばかり。

面白みは少ないのですが、
タイトルのような事件名があったりしまして、
そこそこ人間味をかもし出すところがあるものですから、
結構夢中に読んでしまいました。

さて「かりんと慕情事件」はこんなあらましです。
(記憶があいまいです。ちょっと創作しました)

加害者Aは幼少時に母と死別した。

兄弟はなく父と二人の家庭で育った。
父はろくに働かず、まずしい暮らしだった。

Aの唯一の楽しみはかりんとを食べることだった。
かりんとを食べると、やさしかった母を思い出しAの心は癒された。

中学を卒業し、働きに出た。
給料のほとんどは父に取られ、わずかな小遣いしかAの手元には残らなかった。
わずかな小遣いでAは毎日かりんとを買った。
やさしかった母の思い出にひたるためである。

さて3月となった。
2月は28日間、日給月給ゆえいつもより給料は少なかった。
しかし父はいつも通りの金額を取っていった。
当然、残された小遣いはいつもよりも少なかった。

Aは計算した。
次の給料日まで毎日かりんとを食べることが出来ない。
生きているのがいやになったAは自殺を思い立った。

今生の別れにと、歌謡ショーを観に行った。
残ったお金で薬屋に向かい、睡眠薬を買った。
しかし残金は少なく、必要な量は買えなった。

その足で川原に向かい、
睡眠薬を飲み横になった。

しかし眠くならない。
やはり睡眠薬が少なかったらしい。
どこかでお金を盗んで睡眠薬を買い足さなければ。

Aは泥棒を思い立った。
すでに日は暮れていた。
明かりのない家を探した。
運よく留守宅を見つけ、中に入った。

現金を物色していたAは、
たんすの上にかりんとを見つけた。
思わずかりんとを口にするA
母の思い出にひたるうちに、睡魔に襲われた。

睡眠薬が効いてきたのだった。
Aは眠りについた。

日曜日の外食を終えた家族が帰ってきた。
たんすの前でかりんとを手に横たわるA。
警察に通報され、ご用となった。
(救急車だったかな?)

命に別状はなかった、と思います。



「かりんと慕情事件」
だなんて、警察も粋な事件名をつけますね。
でも私の記憶もあいまいなので、本当は違う名前かもしれません。


この資料本には
「アーメンおすみ」なるスリ(財布の中に住所が分かるものがあると、千円とか二千円とかを郵送で返していたスリ。名前の由来は失念)が出てきたり、いろいろ面白かったのですが、「かりんと慕情事件」のことだけが、なぜか私の中で色濃く残っているのです。

かりんとを見つけ眠り、
外食を終えた家族に発見された、

という家庭環境の対比が情感を誘うのかもしれません。

かりんとひとつで生かされたり、殺されたり、
人間の「生」というのは状況や本人の価値観に拠る、
ということを思わされます。


蛇足ですが、昨今の異常犯罪。


異常な犯罪は昔からあるのでしょうが、
「生」を感じない無機質なものが増えた気がします。
「生」の要求や実感がなくなっているのなら、怖いことです。

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