空が遅い夕焼けに染まっていた、、、
二階から妻がドタドタと下りてきた
居間に入ってくるなり
「虹、虹が出てる」
ガラガラと雨戸を開ける彼女、
(暑いので日中も雨戸を半分閉めているのです)
見上げれば、淡い虹がわずかな弧を描いております。
あんまり薄いので娘はなかなか見つけられない様子、
部屋の明かりを消したところ、やっと見つかったようです。
あんまり薄いので娘はなかなか見つけられない様子、
部屋の明かりを消したところ、やっと見つかったようです。
しかしそれもつかの間、みるみる虹は空に溶けていったのでした。
妻は虹を喜びます。
無口で感情の起伏があまり、いやほとんどないかのような彼女ですが、不思議とああいう虹みたいなものには興奮するようです。
無口で感情の起伏があまり、いやほとんどないかのような彼女ですが、不思議とああいう虹みたいなものには興奮するようです。
彼女よりは感情に波がある私ですが、彼女ほど虹に魅せられることはありません。
人の感受性とは様々です。
以前彼女に、
「あんたみたいなのは、上が抜けているところに行くと快感なんだ」
と言いましたら、
「あんたみたいなのは、上が抜けているところに行くと快感なんだ」
と言いましたら、
「そうそう、高い樹の下で梢を見上げた時、葉っぱの隙間から木漏れ日がこぼれてたりすると、すごい気持ちがいいのよねぇ、、、」
そう言ったまま、遠い目になってしまいました。
そう言ったまま、遠い目になってしまいました。
(あなたに浮世はないのか)と、
彼女より現実的な私は思うわけです。
彼女より現実的な私は思うわけです。
そんなわれわれの夫婦喧嘩は大体決まっていて、
とにかく似たような顛末をたどります。
とにかく似たような顛末をたどります。
まず片方が
「それじゃあ解決につながらないだろう」
みたいなことを言う。
「それじゃあ解決につながらないだろう」
みたいなことを言う。
するともう片方が
「はあ?意味が分からない」
と口には出さないが、そんな顔をする。
「はあ?意味が分からない」
と口には出さないが、そんな顔をする。
片方はそれを見て、さらに怒り出す。
「!!!・・・・・・!!!・・・・・・・・・・!!!」
さっきよりも多く喋っているけれど、
内容は変わらない。
「!!!・・・・・・!!!・・・・・・・・・・!!!」
さっきよりも多く喋っているけれど、
内容は変わらない。
するともう片方が
「???、、、、、、」
さらに口をつぐんで、つぐんだまま怒り出し、
そしてよそ見を決め込んでしまう、、、
「???、、、、、、」
さらに口をつぐんで、つぐんだまま怒り出し、
そしてよそ見を決め込んでしまう、、、
そして、
そして、そして、
虹はきれいだな、というお話でした。