世界のトップクライマー山野井泰史・妙子夫妻のギャチュンカン登頂を描いたノンフィクションです。
山野井氏の本ですから、
当然クライミングの話と普通思うわけですが、
実にそのとおりです。
ところが私は沢木耕太郎氏が書かれているので、山野井氏の日常や生い立ち、山への思いなど、山以外での山野井氏が描かれているものと思っていたのでした。
十年くらい前までは沢木氏の作品をほとんど読んでいたので、登頂という本番よりも、それを支えている生活に焦点が置かれていると思ったんです。なにしろ沢木氏にはそういう作品が多いのです。そしてそこが魅力なのです。
なのでこの本では裏切られたのですが、結局惹き込まれたのでした。
「凍(とう)」というタイトル通り、凍てつく寒さに包まれます。
遭難寸前の中、ギリギリの選択をしていく山野井氏。
世界最高峰のクライマーということは知っていたので、なおさらその状況の過酷さを思わされます。
雪壁でほとんど吊られたままのビバーグ、
火をおこして水を作ることも出来ず、氷をひと欠片口にします。氷を溶かすほうが消耗すると言われておりますが、たとえ冷たい水でも水分になるものを取るほうが大事と思ったそうです。
火をおこして水を作ることも出来ず、氷をひと欠片口にします。氷を溶かすほうが消耗すると言われておりますが、たとえ冷たい水でも水分になるものを取るほうが大事と思ったそうです。
テントもないままでのビバーグ、
寒さに震えが起こる、その震えを「生きる力」の証と思おうとします。
「眠ったら死ぬかもしれない」そう思いながらも、諦めれば死ぬ、諦めなければ死なない、そう考えます。そして眠りに落ち、夜が明け、目覚めるのです。
少し重い、と感じるかもしれませんが、生命力あふれるノンフィクションです。
興味のある方は読まれてみてください。
寒さに震えが起こる、その震えを「生きる力」の証と思おうとします。
「眠ったら死ぬかもしれない」そう思いながらも、諦めれば死ぬ、諦めなければ死なない、そう考えます。そして眠りに落ち、夜が明け、目覚めるのです。
少し重い、と感じるかもしれませんが、生命力あふれるノンフィクションです。
興味のある方は読まれてみてください。
「寒い日の読みたい2冊」でした。