2012年4月19日木曜日

塩の道

塩が貴重だった時代があった

海から内陸へ
 そして山間部へ
  かつて塩が運ばれていった



塩の道は最近、歴史遺産として顧みられ、
観光資源として一部区間では積極的に整備・保存されているようです。

塩にあふれる現在では知る由もない塩のありがたさ、
踏みしめられてきた道々には遺っているのかもしれません。

生活習慣病の大きな原因とされていることもあり、
減塩は健康的と思われがちです。
中にはほぼ摂らない人達もいるようで、
極端じゃないか?とよく思います。

野生動物が塩を必要としない、という根拠を上げる人もいるようですが、
そんなことはありません。

山羊は塩を欲しますし(例えばココ)、牛も同様です。肉食動物は肉に含まれる塩分で足りているという話ですが、詳しくは分かりません。
面白いのは、アリでも塩を欲しがるのです(アリの実験では、内陸部のアリは塩に対して高い感受性を示す)。


「塩と水があれば、人は一ヶ月くらい生きられる」
と聞いたことがあると思います。

水は分かるけど、塩がそんなに必要か?
確か三大栄養素は「炭水化物・タンパク質・脂質」だったはず。
素朴な疑問が生じます。

なぜ塩か?
答えは簡単、三大栄養素は体に備蓄されているけれど、
塩や水は常に排泄と吸収を繰り返しているからです。

海に生きるもの、川に生きるもの、陸に生きるもの、
みなそれぞれ塩分と水分は代謝に使われ、
そのバランスは排泄と吸収で保っております。

水の中で生きる動物でも、海と淡水では条件が違います。
塩分濃度が違うため、ほとんどの動物が行き来できません。

陸に生きるものの中では、ヒトの塩分事情だけが特殊です。
汗で塩分を大量に捨ててしまうからです。
人間はおそらく最も塩分を必要とする動物ではないでしょうか。

汗をかかなくなった現代では、過剰な塩分は確かに有害なのかな?
と思うこともあります。
しかしながらわれわれの中にある塩の道は、悠久の時を経た財産です。

わざわざ流通を止めて
草茫々の荒地に帰してしまうよりは、
十分使うことで、
踏みしめられた現役の道として
活用されて行ってはいかがでしょうか。

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