2012年7月30日月曜日

富安陽子さんのやまんばシリーズ

なんとも爽快な“やまんばシリーズ”です。
普通“やまんばもの”といえば
“怖い”“妖しい”“恐ろしい”ものですが、

このやまんばシリーズは極めて陽気で爽快です。
子育てに疲れたお母さんにもオススメです。
一緒に読んでみてはいかがでしょうか?



「どんぐり山のやまんばあさん」というシリーズ最初の作品を紹介します。

やまんばあさんは296才
長らく人里に降りたことがありません。
山で妖術修行をしているわけでもありません。

極めて動物的に過ごしております。
飛んでも跳ねても野生動物のごとし、
いえ、さらに上をいってます。

そのダイナミックさはファンタジーではあるのですが、やまんばあさんの天真爛漫さがていねいに描かれているせいか、リアリティがあり、物語を生命力あふれるものにしてくれます。


ある時、やまんばあさんは恩返しをしたいと思い立ちます。

 誰かに恩返しをする
 最上級のもてなしをする
 互いに喜びで包まれる
 そんな至福の時間

やまんばあさんはその光景を想像して
ワクワク、ドキドキしてきます。
(このあたりのくだりが巧みで笑えます)

しかしはたと気付きます。
恩を返すには、先に恩を受けなくてはならないのです。

やまんばあさんは自ら雪に埋もれます。
そうやって誰かに助けてもらおうとするのです。

 御年296才
 ギラギラと発する生命力
 ザンバラ髪の怪異な容貌
 雪に埋もれ、
 顔だけ出して、
 通りを睨めるように見つめている

さて、誰か助けてくれるでしょうか?


破天荒な行動に、長靴下のピッピを思い出す人もいるかもしれません。
ピッピと違うのは、ピッピの舞台は文明社会ですが、やまんばあさんは里山付近が舞台となってるところでしょうか。

暑い日々が続いておりますが、
読後の爽快さを求めて、
こんな児童文学はいかがでしょう。

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