2010年2月24日水曜日

めまい ~コップの水を運ぶ

となりのホームで電車が走りだすと
こちらの電車が反対に走り出したような錯覚を覚えることがあります。

うちの娘は前歯を「イー」とやって磨くとき、
顔を左右に動かします。


ちょっと考えれば分かることなのに、
なぜ間違うのでしょうか?
なにか感覚が優先されるのでしょう。

たとえば、
人間の平衡感覚とは何を基準としているのでしょうか。そんなことを考えてみたいと思います。

平衡は耳の中の三半規管で感じ取ります(脳の中で視覚情報などを統合して処理するようですが、そのへんはちょっと難しいので、今回は耳に絞って話を進めます)。

三半規管には、三つの管があります。
大雑把に概念モデル的に見ます。

三つの管はそれぞれ、前後、左右、上下、三方向を軸にしています。管の中には水が入っています。

人間が動くと、水はその場にとどまろうとしますので、管の中では流れが生じます。

動いた方向によって、流れが生じる管が変わり、どの方向に動いたかが分かるわけです。

人間が前に動けば、水は後ろに流れ、前に動いたという情報が脳に送られるのです。

こんな話をご存知でしょうか?

「クルクル」回転して目が回った場合、
   反対に回ると平衡感覚が元に戻る。


平衡という生理的な狂いを、意識的な運動で回復させるのです。

三半規管の仕組みを想像すると納得がいくのではないでしょうか。

”めまい”というのがあります。
ちょっと動いただけなのに、大きくまわりが動いたように感じる。
耳を調べても異常が見つからない。

そんな時
「何か運動に問題があるのかも?」

私はそんなことを考えます。

耳の中の水を上手に運ぶのは、まるでコップの水を上手に運んでいるような行為です。
体がゆるんでいるほどに、それは上手に運べるのではないでしょうか。

整体では胸椎5番を耳、平衡の急処と見ます。ここの動きが悪いと、耳鳴り、めまいなどを疑います。

そういう教わり方はしていませんが、
三半規管の水を運ぶ運動の軸となっているのではないでしょうか。

そんなわけで、
耳そのものに因(よ)るめまいもあるでしょうが、耳に因らないめまいも考える必要があると思います。

いずれにしましても、”耳寄りな話”と、思っていただけたなら幸いです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

お問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

最新の投稿

 『大衆運動』エリック・ホッファー 『一揆論』松永伍一

 『大衆運動』エリック・ホッファー 新訳が出るとのこと。読みたいですね。この時代に新訳が出るのは意義深いと思います。 ホッファーはなぜ人々が集まって社会運動をするのか? という単純な疑問から人間の性質や来し方行く末を思索する。 一つ一つの論考が短めに完結していて、含蓄満載なので読...

人気のある投稿